最初に
今回は『迷子のコピーライター』という著書をご紹介します!
タイトルだけを見ると「『コピーライター』の方向けの本かな?」って感じるかもしれないですが、電通の日下 慶太の自伝のような著書で、コピーライターだけでなく多くの方にも通じる話で是非紹介したかったので、今回書いてみました!
中には『仕事の本質』と思えるものや『地域活性化の本質』を突いていると感じることもあったので、是非ビジネスをやっている方には読んで頂きたい著書になっています!
では、早速紹介していきたいと思います(*’▽’)ノ
『迷子のコピーライター』概要
タイトル | 迷子のコピーライター |
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著者 | 日下 慶太 |
出版社 |
イースト・プレス
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発売日 | 2018/6/17 |
目次 |
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『著者』について
著者である『日下慶太』さんは電通のコピーライターです!
全国の商店街をユニークな視点で店主や商品を紹介するポスター展『商店街ポスター展(※)』の仕掛け人。また、『三戸なつめ』さんのデビュー曲!『中田ヤスタカ』さんプロデュースによる『前髪切りすぎた』のMV(11作品)の制作も担当。
※『商店街ポスター展』は『新世界市場ポスター展』から始まり、様々な場所で全5回行われたポスター展です。2012年に行われた『新世界市場ポスター展』だけでも、新聞21件、テレビ6番組、その他雑誌・ラジオなどでも取り上げられ、広告菅さんで1億円近いPR効果があったそうです!
実際に制作されたポスターは下記になります!
関西らしいユーモアで目の引く感じのポスターで面白いですよね(*’▽’)ノ
『商店街ポスター展』のFacebookページがあるので、商店街ポスター展の情報が知りたい方はこちらをご覧死て頂けると良いかと思います!
ちなみに現在も弘前の地元商店街「土手町商店街」を元気づけるために弘前の高校生たちが、密を避けつつユーモアなポスターを作られているようです!
https://www.facebook.com/postar.t
https://digitalpr.jp/r/42044
『著書』について
この著書では、そんな日下さんが『商店街ポスター展』や『三戸なつめ』さんの『前髪切りすぎた』のミュージックビデオを担当するに至るまでの経緯について描かれています!
そこには、ユーラシア大陸横断から始まり、就職、病気、挫折、出会い、別れ…。
様々な経験を得て、人生の迷子になった著者が違和感と向き合った末に、たどり着いた”ある想い”。波乱万丈な人生を自身の言葉で綴って行く自伝の著書です!
そこには、仕事を行う上で感じる違和感や息苦しさなどに共感することができたり、仕事の本質と感じるようなことも出てきます。『商店街ポスター展』のところでは、感極まって泣きそうにもなりました。
地域の商店街を持ち上げるというプロジェクトの中には『仕事の本質』や『地域活性化の本質』を突いていると感じることも多くありました!是非仕事をしている方には読んでほしいと思う内容です!
最後には『企画のポイント』として下記のことが記載されていました!
「面白さ」×「社会にいい」×「自分にいい」×「自分にしかできない」
この4つの軸を重なるところを軸に企画を立てると芯の強いプロジェクトになるということだそうです!『なるほど…。』と感じる方も多いのではないでしょうか?
本当にどれも大切なポイントで自身の経験を踏まえての想いがあって語られているからこそ、共感しかありませんでした。是非色んな方に読んで頂きたい著書ですね!
『出版イベント』について
2018年に出た著書ですが、実は東京で開催していた出版記念イベントにも参加しました!
広告業界の話を聞くのは凄い新鮮で面白かったのですが、エンジニアで参加してたのは凄い少なかったんじゃないかなって思います。場が凄いホーム感だったので、アウェーに感じちゃいました。笑
ちゃっかりサインも頂いときました!
『慶太』で『笑』を作っているところとか、このサイン凄い好きです!(*’▽’)ノ
ではいつも通り、この著書から学んだことを紹介していきます!(*’▽’)ノ
この著書で私が『学んだこと』とは?
『自分にしかできないこと』を考えてみること
日下さんの『商店街ポスター展』は『セルフ祭』という新世界商店街のお祭りから始まったと言われています!
友人がギャラリーを開いたので、友人に会いに行った時に『コタケマン』と言う男性に話しかけられます。新世界の商店街で『セルフ祭』というお祭りをやるので『祭りに参加しないか?』ということらしいです。
8割ほど断る予定だったが、新世界という場所は気に入っていたので、一度現場を見てから判断しようと思い、新世界の事務所を訪れます。そこで出会った『池田社長』と言われる男性とは不思議と馬が合い、1時間ほど話し込み「『セルフ祭』やってみるのもおもしろいかもしれない。」という気持ちになります!
そこで開催された第一回『セルフ祭』は色々と課題は残ったものの、参加者の熱量は高いものがあり、参加者は皆楽しんでいた。
開催後、第二回『セルフ祭』に向けてメインメンバーに入って欲しいと言われ、スタッフとはなかなか気が合ったこともあり、『セルフ祭顧問』という立場で参加することになりました。ただ、周りのメンバーと違って『会社』があったので、ベッタリと商店街にいることは出来なかったので、その中でも『自分にしかできないこと』って何かと考えた。
そこ思いついたのが2つ!
- 『ロゴ』と『キャッチコピー』の制作
- 『ポスター』の制作
コピーライターとして出来ることを考えてセルフ祭では、『ロゴ』『キャッチコピー』がなかったので、『祭りおこして街おこす』というキャッチコピーを作ります。
また、コピーライターとしてポスターもたくさん作ってきたこともあり、ポスターを作ることも考えました。1人でたくさんのポスターを制作するのは大変なのが課題でした。
そこで思いついたのが、若手社員の研修の一環でポスターを制作するということです。
会社で若手の教育を担当しており、総務課ということもあって、新人の研修の面倒を見たり、社員全体の研修を企画している立場だったので、『若手に手伝ってもらうのはいいかもしれない。』ということを思いつきます!
上司や会社に止められることを危惧していましたが、上司に相談すると『それ、おもろいやんか』とあっさりOKが出ます!ボランティアの一環で参加を強制することは出来ないので人が集まるかは不安でしたが、ほとんどの若手が『やります!』と手を上げてくれたそうです!
『商店街ポスター展』はこうして始まり、色々な企画に繋がっていくこととなります。
これも自分の『能力』『立場』『経験』などから『自分にしかできない』を考えて、答えを出したからこそ色々と繋がって行ったのかと思います。
新しいことに繋がるかもしれないですし、自身のモチベーションを高めることにも繋がるかもしれないので、皆さんも今自分が入っているプロジェクトで『自分だからこそ出来ること』を是非やってみて下さい(*’▽’)ノ
『自身が面白い』と感じるものづくりの経験をすること
日下さんは『商店街ポスター展』をやるにあたって、『やると決めたからにはきちんとやらなければいけない。若手の気持ちを裏切ってはいけない。』ということで、出来る限り若手に自由な制作の場を提供できるようにルールを定めました!
①おもしろいものを作ること。
②お店にきちんと向き合うこと。
③自分たちが好きなもののみ制作すること。
④プレゼンはなし。できあがったものをそのまま納品。
⑤店主が気に入らなかったとしても必ず展示すること。
⑥コピーライター1名とデザイナー1名の二人1組のチームとすること。
⑦他者の力は使わない。すべて自分たちで制作。
⑧広告賞に応募できるよう5作品は作ること。P152 – P153
このルールの中で、『④プレゼンはなし。できあがったものをそのまま納品。』というルールを入れているのは単なる研修でやるのではなく、若手にも『ものづくりを経験させたい』という気持ちを凄い感じました。
というのも日下さん自身が若手の頃から感じていた違和感についても書かれていたので、そんな想いもあって若手には経験を積ませてあげたかったのかと感じました。
日下さんの感じていた違和感について少し触れていきます。
配属されてからの始めの仕事は『新聞広告の原稿を作ること』でした。
『とある製品の引き出しが以前のモデルより7センチだけ大きくなった』という、バージョンアップを伝えるための新聞広告。大人7人ほどが集まって、案を持ち寄り、3~4時間ああでもない、こうでもない、と打ち合わせする。
そこから普通の人では気が付かないような修正内容を4回くらい修正をする。
つまらないこと、一人でできるようなことに大人たちがよってたかって取り組んでいた。牛乳さえ満足にない国があるのに、ほんの少しの商品の差異についていい大人たちが四苦八苦していた。アフガニスタンを思い出すたびにこんな気持ちが過ぎった。結局、ぼくのアイデアも部分的に採用され、これが広告初デビュー作となった。もっと華やかなデビュー作を想像したが誰も顧みないような地味なものだった。今もその原稿は捨てられずに置いている。
P62
誰も見向きのしないようなものを作り、年に一度くらいやってくるおもしろそうな仕事も力んで結果が出せなかった。大きな企業に入っているだけで、何も為しえていなかった。
広告にだんだん心が動かなくなっていった。賞を獲ったもの、世の中で話題になっているもの、いろんなものを見ても何も感動しなかった。おもしろいものは広告以外にたくさんあった。おもしろい広告を作ったといって何になるのだろう。すばらしいクリエーティビティを発揮したとしても、広告の究極の目的は、その企業の打ち上げを伸ばすことである。消費を煽ることである。そのものづくりは消費のためである。ミルクさえ満足にない国があるのに、ぼくはどうでもいい消費を煽るためにものづくりをしている。旅をしてから生じた疑問は年々大きくなっていった。
P71
日下さんが広告に心を動かなくなったのは、『確認作業』の中で『楽しみ』を感じていないからなんじゃないかな?と感じました。自分の作品の『確認作業』の中で修正を何度も繰り返し、自分の作品が自分の作品ではないように思えてくるので、徐々に自身が無くなっていくのではないかと読んでいて感じました。
日下さん自身も広告業界の停滞、ひいては日本自体の停滞は『確認』であるとは考えているそうです。広告制作でエネルギーを使うのは『作る』以外に『通す』という作業だそうです。『作る:通す』=『5:5』ならいい方だが、場合によっては『3:7』『2:8』であったりする。
そこを通す作業をやらずに『10:0』でやる環境を用意したのは、若手には自身の感じた違和感『ぼくはどうでもいい消費を煽るためにものづくりをしている』ではなく、お店にきちんと向き合って自身が面白いと感じるものづくりを経験して欲しかったのかな?という想いを感じました。
ここはエンジニアでも通じるところはあると感じました。エンジニアも基本的には作る作業よりもその他の作業が多かったりして、要件を考えたり、確認作業する中にエンジニアが居ないことも多いです。
仕事をする上で『確認作業』は必要なことだとは思いますが、たまには自身が面白いと思うものを自由気ままに作る機会も作ってみたり、経験する場を提供してみたりするのは面白そうですね!
皆さんも良かったら意識してみてください(*’▽’)ノ
愛を持って『ものづくり』をすると良いものが生まれる
この著書の中で印象的なのは、ポスターを店主の方に渡す場面です。
中には涙ぐみ方もいたり、『家宝にする』と言って気に入る方もいました。
読んでいてもその気持ちが伝わり、こっちも涙が出そうになります。
実際に渡された作品はユーモアだけど、愛を感じる作品ばかりですね!
『ツイッター?やってないけどつぶ焼くよ』のポスター凄い好きです!笑
これも作る人が『このお店でこんなものを作りたい』というお店や作品に対して、愛を感じながら制作したからこそ、こんな味のある作品になったんじゃないかと思います!
確かに『小さな子供が頑張って作った』というものを見ると上手くなくても良く見えますよね!上手い下手ではなく、愛を持って制作したかどうかって自然と作品から感じ取れることができるんだと思います。
どうしても商業柄『エンジニア』に結びつけてしまうのですが、エンジニアも繋がるところがあると思っていて、作っているものに愛があればより良いものが作れるようになるんじゃないかなって思っています。
他にも色んな職種でも通じる話だと思うので、『仕事が来たから熟している』といった仕事するのではなく、『どんなものを作りたい』『何を伝えたい』『何を達成したい』と想いながら仕事をやってみると自然と結果に繋がると思いますよ!
皆さんも意識してみてください(*’▽’)ノ
最後に
今回は『迷子のコピーライター』という本をご紹介しました!
今回は『商店街ポスター展』を中心に書かせて頂きましたが、日下さんの自伝(過去)の話も壮絶な経験をされていたり、『三戸なつめ』さんのMVを担当するに至った経緯なども書かれています。
まだまだ伝えきれていないところも多いのですが、そこは是非著書を読んで頂きたいと思うので、是非購入してみて下さい!本当に視野が広がりますよ!(*’▽’)ノ
今回もここまで読んで頂きありがとうございました!
また次回もお会いしましょう!!